2022
10.19

いつの日にか

FREE

アメリカの映画を見ていると、

戦地で命を落とした主人公が、

勲章をもらう場面がある。

子供の頃の僕は、

「死んじゃってからもらって、どうするのだ?」と、

思っていました。

少し年齢を重ねて、

「それこそが、本人と遺族への最大級の気持ちの表現なのかな」と、

思うようになりました。

もう少し大人になって、

「それがあることで、遺族の気持ちが何か少しでもまとまるのかな」と、

思うようになりました。

さらに年齢を重ねて、

「きっと、本人も、遺族も、そうした儀式があるということを、あらかじめ想定していて、

そして、それを受け取るということが前提にあるのだろうな」と、

思うようになりました。

僕も30代を超えて、

少し冷静に、広く深く捉えることができるようになると、

「っていうかさ、そろそろさ、戦に行くことそのものがなければよいのかも」と、

思うようになりました。

そして、40代だ。

戦争がなければ、良いわけだ。

過去のどんなことも、

誰かの犠牲はあるのかもしれないけれど、

知と努力の結晶で出来上がった世界遺産を見て、

ふと湧き上がってきたことが、

アメリカの映画の場面。

そもそも、

僕の思考がどうなっとるんだということだ。